『月の平均台』、客演インタビュー、最初のゲストは成田亜佑美さんです。桜美林チームからは「あっちゃん」の愛称で親しまれていますが、タテヨコ企画のあっちゃんこと温太郎と、「あっちゃん」名争奪戦が繰り広げられているとかいないとか。22歳。

服部:出身地を教えてください。
成田:広島で生まれたけど、育ったのは横浜です。広島で生まれて半年して、オーストラリアに行って。オーストラリアに3年間いたんですね。覚えてないんですけど。そんでオーストラリアからまた広島に戻って、でもすぐ東京に引っ越して、東京から横浜に来ました。幼稚園のとき。
服部:じゃあ、もう覚えてるのは?
成田:横浜です、うん。そうですね。
服部:なんかそのオーストラリア経験みたいなのって、なんか自分に影響してると思います?
成田:ぜんっぜんしてないと思います。
服部:この春に桜美林大学を卒業されたということですが、ここ1年間くらいどんな芝居をしてきたか、教えてください。
成田:大学でやってました。OPAPですね。(*1)坂口さんのOPAPと、高瀬さんのOPAPに出演していました。(*2,3)両方とも、文学座の方で、プルヌスホールで。あとは貴ちゃんのマームとジプシー。(*4)あ、あと去年だと、プロデューサーの能祖さんが総合プロデューサーで、横田さんも演出助手でついた群読音楽劇。(*5)群読者として出演しました。
服部:じゃ、けっこう常に稽古をしてるような感じでした?
成田:うーん、そうでもない。
服部:あら。その、お芝居してないときとかは何してるんですか。
成田:うーん、なんだろ。でもけっこう、去年は常に稽古してたのかな。うふふ。あんまり、なかったな、うん。


無自覚に稽古ばかりの日々、成田さん。根っからの女優なのか、あんまり覚えがよくないのか・・・。そんな成田さんの目には、タテヨコ企画はどんな風に映るのだろうか。


服部:タテヨコ企画は何回か、ご覧になってますか?
成田:けっこう観てますね。『そのときどきによって』とか、『ムラムラギッチョンチョン』とか、こないだのお台場の『宇宙ノ正体』。その前も、カタカタ祭りも見ましたし。
服部:どんな印象ですか。イメージというか。
成田:やっぱりお坊さんていうイメージはけっこうありますけども、それはでも最近で。
服部:はいはい。
成田:大学入ってけっこう早いうちにタテヨコ企画を観たので。けっこう観させていただいてる。なんか(劇場でない)空間を使ってる芝居もよく観たので。・・・空間とも、会話してる、っていう印象が、やはりあります。ふふふ。
服部:なんか、印象だったあの場所でやったのがよかったなっていうのはありますか。
成田:あの、小学校でやったのってありましたよね。廃校になった。
服部:あ、えっと新宿の花伝舎ですかね。
成田:あ、そうです。あと、やっぱ一番最初に見たPFC(プラネット淵野辺キャンパス)のなんか、ホールじゃない空間でやったのがあるんですけど。
服部:あの踊り場みたいなところでやったやつ?
成田:そうそうそう。
服部:『そのときどきによって』かな。
成田:あのとき電車が見えてて、その、電車のホームで、ああ、あそこにいる、みたいのがあって、それがすごい面白かったです。
服部:あの、藤崎がホームにいたやつね。
成田:そうそうそう。印象的。でも、一番好きな作品は、『春のズボンと秋のブラシ』なんです。
服部:どんなところが好きでした?
成田:えー、なんか、感動した。
服部:へぇ。どの役が一番好きでした?
成田:うーん、温太郎さんと、舘さん夫婦がやっぱり、印象的ですね。あ、でもおじいちゃんも好きだった。


学生だった成田さんのことは全然知らなかった僕ですが、その間にタテヨコ企画を4年間も観ていてくれたって、なんか不思議な気分でした。PFCの『そのときどき』の頃はぼくもまだ劇団員でなくて、客として観てましたよ。うーむ。さて、そろそろ今回の『月の平均台』のほうへと舵をとる。

服部:今回、奥さんがいなくなるって話ですけど、なにかそういう自分の大切な人とか、物とかがなくなっちゃってすごい悲しかったエピソードとかってあります?
成田:おばあちゃん家がなくなっちゃったんですね。おばあちゃんのおうち自体がなくなってしまって、広島なんですけど。
服部:ええ、ええ。
成田:あの、なんていうか、大好きで、夏休みとか冬休みとかいっつもいっつも行ってて。なんだろ、そこで成長した、っていうのが自分の中であるから、そのおばあちゃん家がなくなっちゃったのは、すごい悲しかった。
服部:いくつぐらいのときですか?それ。
成田:もう、結構近いです。3、4年位前の話。
服部:へぇ、そっか。そうだよね、でもそれって、もう、とりもどせないよね。
成田:とりもどせない。もう違う人の家になってました。
服部:ああ、そうなんだ。それなってから行きました?
成田:行きました。悲しい。それが一番かな。ふふ、人じゃない。
服部:いやいや。
成田:あと、モノでね、似てるのがね、横浜のおうちの、社宅なんですけど、
服部:はいはい。
成田:社宅の門から5歩ぐらい歩いたところに、吉田商店っていう、駄菓子屋さんみたいな、なんか食料品がちょっと売ってるお店があるんですけど。
服部:はい。
成田:そこも、子どもの頃からお菓子を買いに行ったりとか、すごい仲良しな夫婦がやってたんだけど。1年くらい前かな、おじちゃんが亡くなってしまって。それからおばあちゃんがひとりでやってたんだけど、最近、工事してて、たぶんもうお店はなくして、おうちにしてるんですけど。そのお店もなくなっちゃったのも悲しい。
服部:あー、そうか。
成田:おじちゃんもいなくなっちゃったし。ふふ。仲良しな、夫婦だったんで。


なにかをなくしたエピソードを尋ねるというインタビュープランに他意はなかったのですが、思いがけずしんみりしてしまいました。思い出しながら語る成田さんの表情が印象的。大人の愛のカタチを模索する『月の平均台』、最後にこれを聞かねばなるまい。


服部:自分は、大人ですか。子どもですか。
成田:えー、ぜんぜんでも、子どもだと思います。
服部:その、ワケは、どういう理由で子どもですか。
成田:なんでしょう。なんか、我慢ができなかったり、うふふ。ひとりぼっちになったときに生きていける知識がないからかな。うーん、なんか、・・・自分が悲しいって思ったりしたときに、ふと、子どもだなって思うことがある。自分のことしか考えられてないのかなって、思う。


8月にサンプルの公演に出演予定という成田さん、今後の活躍が楽しみであります。そんなアユミックスの出演する『月の平均台』は、5月28日より、下北沢駅前劇場にて上演いたします。どうぞ、お楽しみに!


インタビュー:2008年4月26日


成田さんのグッボイス
http://torihitori.seesaa.net/article/95413027.html

*1:桜美林大学パフォーミングアーツプログラム。前回、30回目の公演は横田が作・演出の『風にゆれる、じっと見てる。』だった。
*2:『胸騒ぎの放課後』 演出:坂口芳貞、07年 7月、PRUNUS HALL
*3:『OUR COUNTRY'S GOOD〜我らが祖国のために〜』演出 高瀬久男、08年1月 PRUNUS HALL
*4:マームとジプシー:07年4月、藤田貴大が結成したユニット。
*5:群読音楽劇『銀河鉄道の夜』 脚本・演出 能祖将夫、08年8月、PRUNUS HALL

 
 
 

 

 

 

 インタビューリスト
 ・ 成田亜佑美
 ・ 藤田貴大
 ・ 召田実子
 ・ 土田祐太
 ・ 主浜はるみ
 ・ 西山竜一(無機王)
 ・ 代田正彦(北区つかこうへい劇団)

 

  


  
 

  
 

  
 

  
 


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