『月の平均台』、客演インタビュー、二人目のゲストは藤田貴大さんです。最年少の彼は、劇団員から弟のようにかわいがられていますが、実は自ら作演出をするユニットを持っている多才な好青年なのです。インタビューした日が、偶然にも23歳の誕生日。調査不足で動揺したぼくは、おめでとうさえ言えずに出身地を尋ねてしまったのでした。


服部:出身地は?
藤田:北海道です、高校まで。その後、桜美林大学に来るのに、上京してきたという。
服部:なるほど。北海道のどのへんなんですか。
藤田:あの、室蘭の隣りの伊達ってところなんですけど。
服部:うんうん、それは都会なの?
藤田:都会じゃないですね(笑)、田舎です。とても田舎です。
服部:やっぱり、冬とかはすごい大変なんですか?
藤田:あ、でも、北の湘南って呼ばれてるとこなんですよ、北海道で一番あったかいんです。だから、そんなに、そんなに雪も降らない。北海道の中ではそんなにすごいレベルじゃない。
服部:へえ。主に、どんなことをして過ごしてたんですか、
藤田:北海道では、まあ、ぐうたら。
服部:北海道時代をひとことで、表わすなら・・・。
藤田:ぐうたら!


そんなぐうたらふじたっくすは、この春にするりと桜美林大学を卒業。東京に出てきて、もはやぐうたらしていられない?ここ1年間の演劇活動についてお聞きしました。


藤田:ちょうど1年前に、『ムラムラギッチョンチョン』の演出助手をやって、
服部:はいはい。
藤田:その後に、自分の、ぼくが作・演出をしているマームとジプシーの公演をやって、カタカタ祭りの「うそつきと呼ばないで」に出演させていただいて。それからまた自分の、作演出の活動をやりまして、で、今ですね。
服部:なるほど。マームとジプシーの活動は、去年から始めたんですか。
藤田:はい、第1回が9月。(*1)
服部:その、それは初めての作演だったんですか。それとも・・・、
藤田:その前にもやってましたけど。
服部:じゃ、その自分の団体ということで始めたのは、去年。
藤田:そうです、去年から。
服部:始めたきっかけみたいのは、マームとジプシーが。
藤田:好きな人たちとあの、創作したかったという。
服部:一緒にやりたい人たちと、
藤田:はい。でも、劇団という形では、まだないんですけど。


次の公演で早くも4回めということで、フジタカ率いるマームとジプシー、充実してます。そんな充実ふじたっくすとタテヨコとの遍歴をおしえてくださいませ。


藤田:なんか、タテヨコは、俺、上京してから、1年生の5月のときから観てて。面白いな、と思って。
服部:なにを観たんですか。
藤田:『そのときどきによって』、WSも受けたんですよ。
服部:へー。
藤田:なんか、不器用な感じの人たちが出てて、ぼくも不器用だし、なんかちょっとそそられて。
服部:その、登場人物に惹かれる、みたいな?
藤田:そうですね、花伝舎でやった、『まつりのあとのまつり』でしたか。
服部:はい。
藤田:あれが好きでした。あれはほんとちょっと泣けました。温太郎さんの後姿がすごく、あーって。あれはなんか、好きでしたね、すごく。
服部:へえ。
藤田:服部さんも出てましたよね。
服部:そう。あれ、新人の顔見世みたいな感じの位置づけでやったやつなんで。
藤田:すげー面白かったです。
服部:なんか、嬉しいなあ。一番初めに「そのときどき」を観て、それからまあ、観てる。
藤田:観てないときもあるんですけど。年に1、2回。
服部:今回、それらを踏まえて、どうですか?あのー、まあ、1回もう出てるけども。
藤田:この1年間では、たぶん関わってるほうの人になってるのかもしれないんですけど、横田さんの演出自体がたぶんちょっと変わってきてるのかなって、思ったりして。だからそこになんか、どう俺がついていけるのかな、っていう。楽しみです。
服部:今回、大切な人がいなくなっちゃうっていう物語なんだけども、自分の中でなんか、そういう思い出とかがあれば。
藤田:昨日、横田さんの車で送ってってもらったときに、なんか遠距離恋愛、の話になったんですよ。
服部:へえ。
藤田:土田さんもいて。で、遠距離恋愛できるかって話になって。まあ、できないんすけど。高校のときに付き合ってた彼女とかもいたんですけど、大学来て、あ、もう無理、って感じになったんですよね。だから、一度離れた女の人を追うっていう、それぐらいの愛っていうのは、すごいなって。
服部:ああ。
藤田:ぼくは追えないなって。追えないなっていうか、無理だなって感じ。まだガキってのもありますけど。
服部:なるべくおんなじ空間とか時間とかを過ごしていたいってこと?
藤田:過ごしていたい・・・。一緒に過ごしているときは、過ごしていたいって意識しないというか。離れたときに、それすらどんどん忘れていくから、あんまり・・・、
服部:じゃあ、いま、近くに居る人を大切にしたい、みたいな?
藤田:そうですね、そうですね。そうなってくるんじゃないかな、って思ってて。でも、大切なものが離れてしまったときっていう感じじゃないですか、今回のは。すごいモチベーションなんだろうな、って。


愛について語るフジタックス!ここで、突然の横田登場、インタビューに乱入です。


藤田:横田さんが現れた。ははは。
横田:録音してるの、これ?あー。
服部:じゃあね、「森」といって、なんかエピソードみたいのあれば。
横田:あれは?鹿沼公園のエピソードとかいいんじゃないの。
服部:なにそれ。
藤田:鹿沼公園っていう公園がうちの大学の近くにあるんですけど。終電終わったら、電気が全部消えるんですよ。そしたらあの、ホモのひとたちがうようよしだすんですよ。
服部。へえ、なんで知ってるの?
藤田:ぼく、1、2年生のとき、そこを通らないと帰れないところだったんですよ。
服部:えー?
藤田:ホモの人に2、3回、ナンパされましたね。
服部:マジで?
横田:直接さわられたりとかはしないの?
藤田:さわられてます。
横田:マジで?
藤田:だから、手、捕まれて。ねえねえ遊ぼうよ、兄ちゃん、兄ちゃんって。
服部:えー。
藤田:あとホームレスみたいなひとたちが、ついてきます。
服部:すごいリアルなエピソードですね、これ。
藤田:声出ないですよ、ほんと怖くて。男の人ってやっぱり力あるんだな、って思いますし。男でもすごい怖くて。
服部:何回かあるってことは、にもかかわらず、そこを通って帰ったの?
藤田:何回かあります、はい。でも一回、一番怖かったのは、どうしてもうんこしたくて、
横田:やばいじゃん。
藤田:鹿沼公園の公衆トイレに入ったんですよ。そしたら、そこに来られて。
服部:こえー!
藤田:すごい怖かったです、ほんとに、それは。
横田:人はさすがに入ってこられないんでしょ、中には?
藤田:こられはしなかったんですけど、
服部:周りに居るんだ、
藤田:声掛けられたんですよ、「おい」って。すっごい怖かったですね。
横田:それでも迂回はしなかったんだ、道は。
藤田:迂回はしても、迂回したときはあるけど、やっぱ油断したときに、今日はいいだろ、みたいなときに、決まって来るんですよね、


恐怖体験に裏づけられたリアルな森の世界を体現するふじたっくすの勇姿は、下北沢駅前劇場で。『月の平均台』、5月28日にスタートです。乞うご期待!


インタビュー:2008年4月26日


藤田さんのグッボイス:
http://torihitori.seesaa.net/article/95492627.html


*1: 『スープも枯れた』 作・演出 藤田貴大、07年9月、横浜・創造界隈 ZAIM 他
 

 
 
 

 

 

 

 インタビューリスト
 ・ 成田亜佑美
 ・ 藤田貴大
 ・ 召田実子
 ・ 土田祐太
 ・ 主浜はるみ
 ・ 西山竜一(無機王)
 ・ 代田正彦(北区つかこうへい劇団)

 

  


  
 

  
 

  
 

  
 


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