ムラムラしちゃうインタビュー、2人目のゲストは、太田善也さんです。太田さんは昨年の散歩道楽・タテヨコ企画の合同公演では太田さんの書いた「宇宙も終わる」を横田修が演出、太田さんは出演もしました。


服部:えー、太田さんにはインタビュー初めてということで、年齢と出身地を最初にこう、聞いたりするんですが。
太田:年齢は、27歳、です。
服部:年下じゃないですか、僕より。
太田:そうだよ。
服部:うっそ。そこ隠しどころじゃないですよね。言っていきましょうよ、えと、さんじゅう?
太田:初めて明かすけど、
服部:はいはい、
太田:34歳。
服部:こないだの誕生日のことについてブログにアップとかしてないんですか?
太田:いや、ぜんぜんアップしてます。
服部:世界中が知ってるじゃないですか。
太田:出身地は、父があのー、ロシア。
服部:まあね、見てわかるとおり。
太田:そう、岐阜です、
服部:アハハ。
太田:めんどくさい?めんどくさいなーって思ってる?
服部:んや、思ってないっすよ。すごい楽しく。いつこっちに出てきたんですか。
太田:いつだろ、おとといー?
服部:ハハハハ。
太田:あー、いつだったかなぁ、
服部:二十歳そこそこくらいですか。
太田:高校出てすぐ、浪人で、こっち出てきたんで、
服部:じゃ、もうでも、半分くらいは東京で、
太田:そうですね、東京の人になってしまったよ。


トゥーシャイシャイボゥイの太田さんは、なりふり構わずボケ倒してきました。こんなインタビューは初めてだよ。虚実入り乱れてインタビューは続きます。太田さんがタテヨコ企画とのなれそめを振り返ります。


太田:最初はー、なーんだろうな。たぶん、お互いの知り合いが、散歩に出てて、たてちんに見に来てもらったことがあるのかな、うちに。
服部:へー、それが最初だったんですか。
太田:ぼくそのときは、たぶんたてちんとも挨拶してないし、知らない、まだ、タテヨコは。
服部:はいはいはい。
太田:その後に、誰かが連れてきてくれたのかなー。あの、横田さんが見に来てくれたんだよね。
服部:ふんふんふん、
太田:で、「ちーす」って感じで挨拶をして、これはウソだけど。そのときに終わってから、ご挨拶をしたのが最初で。まだそのころはタテヨコ企画って、なんとなくは知ってたけど、観たことなかったし。
服部:じゃ、先にタテヨコのほうから、「なんかいるぞ?」みたいな感じでこう、
太田:いやー、そんな感じではないです。なーんとなくですよ、で、僕が『風に揺れる・・・』の再演を駒場に見に行って、面白かったってのがあって、(*1)
服部:へー。
太田:それ以降、あれだね、会って、こう挨拶したり、飲み屋で話し・・・、話したかな。飲まないもんな、横田さん。あ、横田さんに見に来てもらった公演の、2本くらい後かな、なちえちゃんに出てもらったんだ、うちに。コンタクトレンズっていうね、再演をやったやつがあって。(*2)で、それうちあげ、ウエストエンドでやったから打ち上げをカンナでやったりする関係で。そのころかな、横田さんとか、たてちんとか話し始めて。
服部:これ、またなんでなちえさんを、
太田:そーれが、覚えてないんだよね。
服部:あははは、
太田:うーん、
服部:マジですか?
太田:なーんだろ、よかったから誘ったんだよね、そりゃあね。
服部:そうですよね、え、そうしたら、太田さんが散歩道楽の中で一番タテヨコに近いんですか?ほかにもっと仲いい人とか、
太田:せっちゃんが、タテヨコのワークショップ出てたのっていつだっけ。
服部:あ!ワークショップ受けてますよね。そうだそうだ、
太田:それでせっちゃんが連れてきてくれたのかな?最初、せっちゃんかもしれない。
服部:じゃ、これはいしいせつこ氏にインタビューしないとわからないですね。
太田:そうですね、ぼくはうろ覚え、ですね。
服部:それでもう、いきなり合同公演ですか。
太田:いや、そのあとあれだもん、温太郎にオブジェお願いしたり、たてちんに出てもらったでしょ。
服部:カトレア?
太田:カトレア。
服部:はいはい、あれ、ぼくが初めて観たやつです、散歩道楽。
太田:あ、ほんと。ししゃもは、知り合いでもないはず、なんで知ってんだ?
服部:でもあれですよね、名付け親じゃないですか。
太田:そうだよ。
服部:どうしてそういう名前になっちゃったんですかね。
太田:わからん。
服部:ししゃもの名付け親だってのは、載せて平気なんですか。
太田:そこんとこあれだな、あの、太字でぜひ。
服部:太字でね。
太田:あいつがあのー、なんだろ、菓子折りみたいの持って、ネクタイ締めてうちにやってきたからさ、「どうした」つって。
服部:ハハハ。
太田:おれが和服着て出てったんだよ、いつものね。
服部:ゴッドファーザーですね。
太田:まあはいんなさい。猫とかこう、なでながらさ、座椅子で、こういうひじかけみたいのがあってさ、
「どうしたんだよ、青木くん」
そしたら座布団さーっと離れてさ、
「せんせい!ぜひぼくに名前をください」
「おうっ。わかった。きみはなかなか見込みのある男だ、「ししゃも」ってのはどうだろう」猫にこう、ししゃもをあげながら。名付けたわけだけど。
服部:なるほどね。それがこう、柳葉魚と書いて、ししゃも。みんな驚きましたからね、なかなか読めない漢字で。その秘密が、いま、
太田:明かされたわけだよ。 シシオドシがカコーンって。そういう静かな、鳥がさえずっている、日曜の午後だったかな。
服部:そんな仲良しな太田さんですよ。
太田:ねえ。僕あんまりアレですよ、ほかの劇団とこんなに仲良くなることは珍しく、人としてもさ。だから、ましてやねー、一緒にやる前から、こんな仲良くなるのも珍しい。なんだろうね、この親近感。
服部:そしたら、あれですか、たとえば、「宇宙」のときとか今回とか、タテヨコ以外の人たちと一緒にやったときよりは、多少、垣根が低かったりするわけですか?
太田:飲み屋とかではね。
服部:ああ、はいはい。
太田:芝居に関しては、別だね、
服部:お。
太田:そりゃ緊張するもん、ひとに演出してもらうの。ましてやね、まったく知らないところに入る緊張もあるけど、こう見ててさ、ずっと。ようやく呼ばれたわけで。そりゃ緊張しますよ。顔色、こう横目でちらっちら、ちらっちら見ながら横田さんの。


うそかまことか、柳葉魚の命名秘話がでたところで、散歩道楽では作・演出でもある太田さんの、「役者太田とはなんだ」というところを聞きたかったのですが。


服部:太田さんは演出もやるじゃないですか、っていうか、作演じゃないですか。
太田:作演だよね。
服部:それで、出演するときとかもあるじゃないですか、散歩のときとか。そういうときってこう、大変なんじゃないかなって僕なんかは思うんですけど、
太田:うーん。
服部:「宇宙」のときはね、台本は太田さんの書いたセリフだったんだけど、
太田:珠玉のね!珠玉のセリフだけど。
服部:珠玉のセリフね、そうそうそう。それが、今回は、ヒトのセリフじゃないですか。
太田:ヒトの。
服部:他人の書いたセリフで、他人の演出で。そうすると、やっぱりモードは違うわけですか?テンションというか。
太田:演技のモードはね、ぼく、頭ン中で細かく16段階に分けているわけですよ。稽古にかかるときにね。で、この稽古でいうと、第8段階に、僕の中ではちょうど。
服部:ぶっ。
太田:切り替え方法というか、稽古場に入る前にね、儀式がある、これはどうしても明かせないんだけど。そうやって別人に変わるわけだよ。稽古場入るときに。
服部:散歩のときは?
太田:そのまま、ふらーって、すし詰めとか。すし詰めたやつを持って入ってくる。
服部:それって稽古場にですよね?演技に入るときも?別にそのまま・・・、
太田:演技じゃないもん、ぼく!自分のとこはね。やっぱ、演出が入るのと入らないのと、大きいよね、役者はね。まあ、うまいヒトは別だけど、僕なんかのレベルで言うとね。演出自分でやっててその、誰も言ってくれなくってやってるのは、あんまりそれはね、演技とはね、言わない、言いたくないんだけどね。でも、演出してもらって、横田さんがオッケーならいいわけじゃん、横田さん判断なわけで。
服部:はあ。
太田:自分でさ、「いやーおれ、こんな芝居じゃだめだー」とか思っててもさ。横田さんが判断するわけじゃない?それは。ダメだったら直してくれる。・・・直せないのかも知んないけど。だからもう、「芝居してます、やらせてもらってます、あの役を」みたいなね、気持ちになってるっていうハナシなんですよ。
服部:地獄谷さんも、作演じゃないですか。ふたりとも、いつもとやっぱり、違うわけでしょう。
太田:よくね、聞かれるけどね、それは100通りあると思うよ、100人。まったく違うと思うよ。地獄谷くんがどうかはわからないけど。ぼくはね、あのぅ、まったく意識したことないね。たとえば僕が普段書いてて演出やってるから、出ながら、ここのテンポはこうで、とか、このセリフはこうで、とか、もう。考えたことない。
服部:えーっと、散歩のときにですか?
太田:こうやってタテヨコ出してもらってるときに。
服部:そんときはじゃあ、もうまるっきり、役者太田で、
太田:それがさー、役者だって考えるでしょ?セリフのこととか全体のテンポのバランスとかさ。演出だってそれは考えるでしょ。だから考えてるか考えてないか、わかんないんだけど、意識はしてないっていう。
服部:ああ、なるほどね。
太田:どこまでね、自分でやりながらさ。これは演出の分野で、演出だから俺はこう思ってるとか。役者のみでやってたことはないから、わかんない!両方やっちゃってるんだからね、もう。自分の中で意識はまったくないっ。
服部:そっか。どっちが好きとかあるんですか、
太田:えー。どっちも好き。
服部:まあ、どっちも好きか。
太田:申し訳ないね、なんか。
服部:演出じゃなくて、よそで出演しているときの楽しみ、みたいのは、どうなんですか。
太田:俺のなかでは、まったく違う楽しみというか作業というかね、
服部:んと?演じるのと、作演とが。
太田:そうそう。まあ、演出のみってのはやったことないから、別かも知んない。たとえば、自分で書いてさ、これ面白いだろう、っていうのをやってるわけじゃん。でも、こういうところに出してもらってると、横田さんの面白いとさ、自分の面白いは絶対違うわけじゃない、
服部:はいはいはいはい、来た、来た。来ましたよ。
太田:なにが、なにが。これ、これ、これいい答え?いい答え?
服部:いやいや、おれの、興味深い答え、
太田:一気に答えにくくなった。うふふ。鯉にえさをやってたのに・・・。
服部:作演で、これ面白いって、出すわけじゃないですか、
太田:そうそう。
服部:でも今回のは、セリフとかは、横田の書いたセリフじゃないですか。
太田:そうだね。
服部:そうすると、内容とか、ここでこういうことを言うってことに関しては太田さんの手を離れているわけですよね、
太田:そうですね。
服部:だからもうそこで、これをしゃべるってのは決まってて、わーってしゃべるわけじゃないですか、
太田:うーん、そうだね。
服部:・・・。
太田:でも、なんだろうね、役者はみんなそうだと思うけど、あんまり自分が面白くないなって思うことを無理矢理やらされてるわけじゃないじゃない。ぼくはこれが面白いと思います、っていうふうにやるわけじゃないですか。作演出だってそうでさ、ただ作演出の場合は、ゼロから全部自分で作ってやっていくわけだけど、こっちはある程度もう、この積み木で、このおもちゃで遊んでください、みたいな感じでさ。おもちゃ自体は与えられているわけだからさ。
服部:ははぁ、なるほどね。
太田:それはそれでなんだろうね、楽しいよ、
服部:積み木ね、
太田:ふふん、積み木、
服部:積み木ってもう、書いちゃった。
太田:あ、ほんと。ありがとう、


ムラムラクエスチョンシックス、太田さんが引いたのは・・・。


太田:あれは修行だったなあ、という思い出を教えてください・・・。まあ、去年は修行だったけど。サンポジウムはあり、離婚はするわ。さんざんな年で。これはまあ、修行だよな、ひとつ。フフ。他にもいろんなことがありましたよ、言えること言えないこと。なんか去年、きゅーっと固まったね。
服部:結局、何本やったんでしたっけ、サンポジウムは。
太田:サンポジウムは、7本。で、7本とも書き直したからね。
服部:じゃもう、連続で、一年中書いてたわけですな。
太田:そう。まあほとんど再演が多いんだけど。で、前半は、鈴置プロデュース出てた。終わって、すぐ5月公演の台本にかかって、11月までずーっと書いてたでしょ。で11月は書きながら、ラフカットも11月半ばにあったから、同時に書いてて。11月の本番終わって、ラフカットの本番のころには、1月を書き始めてたから、
服部:はいはい、『くらい』。お世話になりました。(*3)
太田:いやいや、ありがとうございました、ほんとに。いやでも、そりゃ修行だね。
服部:それ、修行ですよ。
太田:クオリティーもちろんさ、質が高いものを、やらなきゃいけないとは思うんだけど、やっぱ、あの、数がない質は質じゃないよ、と思うよ。なんか、「俺は一本すげー面白いもの書いたぜ」って自慢してるヒトよりも、「俺は百本書いたぜ」って自慢してる、バカなんだけど。そっちのがぼく、好きだね。そういうやつのほうが。だからいま俺、数書きたいし、いろんなとこに書きたいし、いろんなこと怒られたいね。
服部:でも、もう、そんだけ連続で書いて、どんどん目の前で上演されていったわけですよね。
太田:でもねぇ、自慢じゃないけど、2003年もね、本公演が、えっと、2本。けど、その間に俺、ほかに書いたのが3本あったからね。全部新作だったの、そんときは。まあ、短い30分のやつとかもあったけど、
服部:たくさん書いてるんですね。
太田:書いてるんだよね、振り返ると。えらい、えらいよなあ。で、毎回、全力投球してね、ほんとに。なーんで太っちゃったのかなー。
服部:はっはっは、
太田:やせても、やつれてもいいものを、な。なんかがんばってる感ないよな、太るとなぁ。
服部:そういえば、そんなやせてないですね。
太田:言わすなよ、太ったよっ!体脂肪、2年前ぐらいに計ったときは「やせてる」ってとこに入ってて、まだだいじょぶだって。おととい計ったら「太ってる」だって。普通をすっ飛ばしてしまいました。いま、25パーくらいある。
服部:あら。
太田:やばいだろ、4分の1脂肪だよ。
服部:すごい心配になりますね。じゃ、そっちのほうも、今回、がんばって、
太田:いや、あのね、修行僧の役じゃないですか。あんまりぷよんとしてるのもさ、いかんなと。しげぱが太ってるって怒られたしさ。帰り道、しげぱと俺と、ちょっと一緒に協力してやせようって、体脂肪計で計って、どれだけ減ったかって。そしたらしろたんが来て、ぼくも参加していいですかって。三人でやるようになって、今日スタート、
服部:それ、ぜひ、報告してくださいよ、ブログでも。
太田:うん、するよ。やせたらね!
服部:だめですよ、みんなに見られてるっていう意識が、アレするらしいですから。
太田:まあ、そうだね。でもゆうべ、最後の晩餐だとかいってさ、ラーメンとか食べちゃって、
服部:ハハハハハ、なるほどな、今、なんか、見えた気がする。
太田:ラーメンライス。
服部:だめだ、このひとダメだ。
太田:この人だめだって言うな。
服部:太るヒトだ、このヒトは。


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インタビュー:2007年5月3日
*1:『風にゆれる、じっと見てる。』 2002年、こまばアゴラ劇場
*2:『改訂版 コンタクトレンズ(再演)』2003年、ウエストエンドスタジオ
*3:『くらい』2007年サンモールスタジオに、服部がダンサーで出演。

太田善也 information
太田さんのグッボイス http://torihitori.seesaa.net/article/41310193.html
散歩道楽 http://www.sanpodouraku.com/


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