■公演に向けて■
日本人の生活は「死」からどんどん遠のいている気がする。
ニュースを見ればそこここに死は転がっている。事件事故、自然災害。
だが、私たちは死を自分のこととしてどれだけ感じ取れているのだろうか。
医療技術の進歩により人間の死期は延長され、生活スタイルの変化は死の存在を押し隠しつつあるようにも思う。
「死」が遠のけば、必然的に「生」も遠のく。
説明できない生きにくさが訴えられ、自ら命を絶つ人、社会との関わりを閉ざす人の事案は日に日に増えている。
なぜ生きなければならないのか。なぜ生きているのか。
人間が避けることのできない八つの必然的な苦しみと精神的な苦しみのことを「四苦八苦」という。現在ではさんざん苦労することの意味で使われる。
登場する修行僧たちは文字通り「四苦八苦」し「四苦八苦」に翻弄される。
その姿を通して、現代を生きる私たちをよあり真摯に、ときには滑稽に描き出したいと思う。