■公演に向けて■
「台本に奉仕しない」ということと「台本を信用する」ということは稽古場などでよく耳にする言葉だがなかなかどうして両立するのは難しい。
台本に奉仕しなさすぎると逆に俳優に奉仕した作品になりかねないし、台本を信用しすぎると俳優のいない芝居になりかねない。
タテヨコ企画の俳優はこの「奉仕しない」には長けている。何なら「台本なんてぶっ壊せ!」くらいに考えている節がある。時折怖い。
そんな彼らには壊れない台本が必要だ。そう、幼児には壊れない玩具が必要なのと同じだ。
そこで、強度のある作品を劇作し続けている柳井祥緒氏に台本をお願いした。
彼の作品にはストーリー・世界観の強さがあるし、人物の理論・行動に穴がない。壊れない台本だ。
どんな盾も貫く矛と、どんな矛も通さない盾。みたいな。しかし矛盾しない作品を作る。という。
僕はタテヨコ企画の俳優を信頼しているように柳井氏の台本も信頼している。
「奉仕しない」為には「信用する」が必要なんだろう。
水と油、体育会系と理系、野獣と宇宙人、とにかく正反対の者どうしが一つのモノに融合したら面白いと思う。
台本と俳優のガチンコ勝負が最も近くで観られるかと思うと今からワクワクする。
このワクワクを作品にのせてお客様に楽しんでもらいたいと思っている。