『三人姉妹』は、言わずと知れたロシアの作家アントン・チェーホフによる名作戯曲です。田舎町に赴任した軍人一家の三姉妹を主人公に、ロシア革命を目前とした帝政ロシア末期の知識階級の閉塞感を描いた作品と言われます。
一方、現代社会は第五次産業革命の真っ直中と言われています。もちろん、革命が進むことで便利になったり、新しい生き方が生まれてきたりするのでしょう。それは素晴らしいことなのだと思います。しかし、ほんの少し前まで当たり前であったことが全く通用しない、そのような絶望に苛まれる状況も散見しているのではないでしょうか。
前作『あるサラリーマンの死』は、アーサー=ミラーの『セールスマンの死』をモチーフに、そんな時代の変化の中で死を迎えた自身の父の死を捏造しました。「団塊の世代」であった父の人生があって、「団塊ジュニア」と言われる私達がいます。第二次ベビーブームの頃に生まれ、激しい受験戦争を戦い抜いた世代です。今作では、そんな「団塊ジュニア」世代である三姉妹の生き様を描くことで、日本から一体何が消えて、何が残るのか、あるいは何も残らないのか、そして、それはいけないことなのか・・・やがて消えゆく世代の叫びを静かに描きたいと思います。
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