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  タテヨコ企画 第43回公演
 
繭の家
あるサラリーマンの死
ものがたり
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タテヨコ企画第45回公演『繭の家』2024年3月27日(水)〜31日(日)@シアター風姿花伝

 
□ものがたり
S市役所生活福祉課・一ノ瀬瑠佳は暗澹たる気持ちであった。
辞めようか辞めたい辞めてやる。そう思いながら働く疲労困憊の日々。
そんな彼女に新たに課せられたのは、ひきこもり支援業務だった。
フリーライター・福井薫子は今日も走り続けていた。
長期ひきこもりの支援活動のため、日々数件の家庭を訪問し当事者と関係を築こうとしているのだ。
ひきこもり相談の方が本業よりも忙しいのが気にかかるところではあるが。
研修として行動を共にすることになった瑠佳と薫子。
二人が訪れる先にあったのは、繭の家だった。


手をのばす。そこは誰かの世界。



□作・演出から
20年くらい前の話になるが、僕は一日中家から出ない生活を1年くらい続けたことがある。演劇の稽古には参加していたので、現在の引きこもりの定義によれば、趣味などの集まりには参加している「準ひきこもり」というくくりになるようだ。
その状態になる前は週6・7日のペースで働いていたのだが、当然、その状態を長く続けられるはずもなく、疲れ果ててしまい辞めたのだった。最初はそれほど休むつもりはなかった。しかし、今日こそ働き口を見つけよう、今日こそは今日こそはと思うものの結局何もできず、時間だけがただ流れ、休みはどんどん長くなっていった。押し潰されるようなジリジリとした焦り、劣等感。それなのになぜか働かない自分。そのことにまた苛立ちを覚える。どうしてそのループから抜け出せないのか自分でも分からなかった。怠けていただけ。たしかに、僕の場合、そう言われてしまえばそうかもしれない。ただ、ひきこもり状態になる人々の皆がそうではない。何かに躓いてしまったり傷ついてしまったことが原因であれば、そう簡単に事の解決には至らないだろう。世の中で起こっていることは全て他人事ではない。ひきこもり状態になる理由は千差万別であり、自分はひきこもらない。なんてことは言えないし、家族がそういう状態になる可能性だってある。現在、ひきこもり人口は増加・高齢化の傾向にあり、今後さらに大きな社会問題になると予想されている。
しかし、その対処法は現在もまだ確立されていない。
ひきこもりを生み出す要因が社会の中にあるのなら、それを解決に向かわせる方策も社会の中にあるのかもしれない。当事者が、個々人が、家族がどうやって社会と接していけばいいのだろう?そんなことを考えつつ、20年前の自分と対話しながら今回は創作している。

 青木柳葉魚

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