老舗ギャラリーのとある1日。
先日オーナーが亡くなり、今日は故人を偲ぶギャラリー葬が開かれている。

ギャラリーに縁のある人たちが顔を出しては故人を偲んでいく。彼らには気になることがあった。ギャラリーの行く末だ。オーナーには息子がおり、アーティストである。多くの人は彼が継ぐと思っていたが、しかし遺言で示されたのは彼の妻であった。結婚して十年になる若夫婦、子供はなく、あまりしっくりいってないようにも見える。特に夫の動向を心配する様子が伺えるが、間もなく40を迎える彼は黙してあまり多くを語らない。

故人の弟や甥夫婦、夫の妹など親族も顔を出すが、彼らの心配事は奔放に生きた故人の私生活のことである。最後を看取ったのは、親族の誰も知らない見ず知らずの娘であった。どうやら実子であるらしい。今日も来るという。

葬式という場に集う人々の囁きから、今を生きる人々の様々な想いが見え隠れする。

式も一段落して残される夫婦。果たして彼らの行く末は如何に。

 


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