>>> 横田修インタビュー第1回はこちらです


【横田インタビュー第2回】

 10月下旬におこなったインタビューから1ヶ月の期間が流れ、再び 作・演出の横田修氏にインタビューをおこないました。客演陣を加えた 本役での稽古を重ねる中で感じたこと、発見したこと、目指す部分など を話していただいています。

 『西から昇る太陽のように』へのイメージを膨らませつつ、どうぞご 覧ください。

― 『西から昇る太陽のように』での2回目のインタビューにな ります。どうぞよろしくお願いします。


横田 よろしくお願いします。


― 前回のインタビューでは「主婦のお話を書きたい」とおっしゃっていました。11月末の現段階では、客演の方も加わり吉祥寺シアターの 稽古場で稽古を重ねています。舘さんと仲坪さんと椿さんという、本役での稽古の具合はいかがでしょうか?


横田 とにかく個性的で、いろんなモノを出してきてくれる方々なので純粋に面白いです。


― これまで稽古を見させていただいたところでは、横田さんは俳優間の関係性を見ていくなかで戯曲も発展させていくところがあるように思 われます。そのあたりは、主婦を演じる客演の女優陣とではどのように感じていますか?


横田 客演の人たちと仕事をすると、「あっ、そんな風に読めるんだ!」とか「そっか、そういうふうに理解するんだ!」とか劇団員とは全く違う回路から解釈なり演技なりが出てくるのですが、仲坪さんと椿さんはいい意味で特に顕著ですね。戯曲の分からない部分は、いい意味で出してきません。だから僕のほうでは足りない部分を指示していけばいいわけで、いつにも増して明確ですね。全体的には自分が相対化されていく感じがあります。


― 相対化ですか?


横田 はい。「演出している僕の言ってることは、真意をキチンと伝えているのか?」というような感じかな。すごく試されます。最終的には僕のイメージへ近づけることしかできないし、でも反対に僕が全く理解できない予想を超えるものを稽古場に持ってこられる場合があって、それに乗ったり、乗らなかったり・・・みんながどう思ってるかは知らないけど、僕は今、稽古が楽しくて仕方ないです。


― 女優陣と稽古を進めるなかで、横田さんが当初思い描いていた主婦像から変化した部分はあるのでしょうか?


横田 仲坪さんと話していると「そっか!これは男のわがままな論理で描いてるんだ」ってことに気づかされます(笑)。本当に頭のいい人なので、僕にも分かるように話してくれる。


― その辺に関しては、舘さんからもたまに指摘されてますよね?


横田 舘とは “腐れ縁”みたいになってるので・・・僕が思っている“女性らしさ”がどれだけ僕の(男の)欲望にまみれたものなのか気づかされるわけですよ。「うちの奥さん、だからいつも怒っているんだ」みたいなね。一人の男として勉強させてもらっている感じといいますか。


―なるほど(笑)


横田 僕の女性像を広げてもらってる感じが今、すごくあります。仲坪さんも椿さんも、それはもう素敵な女性なんですよ。


― 男性陣では阿部さん、若狭さん、小高さんがいらっしゃいますが、こちらの客演陣とではいかがでしょうか?


横田 若狭君は演出が何を求めているのかを掴むのが早くて勘がいい。稽古してるとどんどん役のイメージが膨らんでいくからすごく楽しいです。あと台本の読み込みも深い。

  仁さんは芝居のできる方なので、僕が逆に教えてもらっている感じです。仁さんが登場するとシーンが動くんです。仁さんとは今回で3回目になりますが、今回やっと同じ土俵で仕事ができるようになった感が僕にはあって。これまた仁さんがどう思っているかは分かりませんが・・・

  阿部さんは今回、とっかかりが掴みにくい不思議な役をやってもらってます。阿部さんは自分の役や演技のことについてすごく考えてきてくれる人です。稽古の最初の方では、阿部さんが持ってきたイメージをすぐに共有できないときがありました。でも話していると、何故そういうふうに考えているのかが分かる。自分が書いたものからそこまで読み取ってくれるのは作者冥利に尽きます。もちろん、これは客演していただいている5人に共通して言えることでもありますが。


― 作品全体の話題に移りたいと思うのですが、キーワードとして出た「向き合う」という部分はいかがでしょうか?


横田 「向き合うとはなんぞや?」という部分の作業はだいたい終わったので、あとは芝居の中でまだ向き合えてないところを一つづつ詰める段階です。あと、もう一つの演出的なテーマとして「接触」ということがでてきました。「触れる」という行為は、エロティックだと思うんです。人間には「これ以上は近づかれると警戒してしまう」というセーフティーラインというのがあって、その境界をあえて超えてみる。そこをつっつくことで、俳優の本性の部分を引っぱりだせないかと思うんで
す。身体コントロールということになるのかな。以前から模索していた部分ではあったのですが、今回、その部分が随分明確になってきました。今、“タテヨコ企画の身体”を創り出す過程に入ってます。


― なるほど。今回の作品がタテヨコ企画の今後の10年を担うにふさわしい転機を創り出そうな感じがうかがえますね。最後にご覧になるお客様へ一言いただけますでしょうか。


横田 今回ほど刺激的な稽古場も久しぶりですが、おかげでこれから先10年でやりたいことが見つかった気がしています。「西から昇る太陽のように」は、古いタテヨコと新しいタテヨコを繋ぐ演劇です。吉祥寺まで遊びに来てください。決して損はさせませんから。


― 本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

>>> 横田修インタビュー第1回はこちらです


『西から〜』のトップへ | このページのトップへ | タテヨコトップページへ | タテヨコ企画とは | お問い合わせ

Copyright(c)1999- TateyokoKikaku All Rights Reserved.