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【横田修インタビュー第1回】

 10周年記念インタビューを最新作『西から昇る太陽のように』でもおこなうことになりました。
 まず1回目は作・演出の横田修氏。出演者が全員そろっての稽古に先立ち、劇団員のみの稽古が先行して行なわれる10月下旬にインタビューを実施しました。前作の感想から今作に込めた思いまで、どうぞご覧ください。

 

― 『夜まで待てない』でのインタビューに続いて、今公演でもインタビューを行なうことになりました。
よろしくお願いします。

横田 よろしくお願いします。

― 既に『西から昇る太陽のように』のプレ稽古が始まっていますが、まずは前回公演『夜まで待てない』を終えての感想からお話いただけますでしょうか?

横田  『夜まで待てない』は銀座という初めての場所での公演でしたから、「ある架空のまち」を作り込むというよりは「銀座という場所にお話を持ち込む」という作り方にしました。作品のストーリーはギャラリーでやるという部分の楽しみを全面に出したので、すごくストレート、もしかしたら軽過ぎるくらいストレートで分かりやすい話だったかと思います。今まで、あんなドラマチックなラストは描いた事がなかったので、自分でも意外でしたね。
 演出面ではノリというか、エモーションというか、そういう「うねり」のようなものに最近興味があるので、「場所とのうねり」という部分を最も気にしました。
 10周年記念公演ということで瓜生君をはじめ、やりたい方達とやれたという嬉しさもあって、遊んでみたっていう部分もありました。とは言っても、いつも僕はお芝居は遊びだと思っていますから。『西から昇る太陽のように』でもそうなんですけど。

― ありがとうございます。では、最新作の『西から昇る太陽のように』に話を移したいと思います。今作のテーマ等をお聞かせいただけますでしょうか?

横田 40歳ぐらいの人をテーマに芝居を作りたいと思いました。僕は今39歳なんですが、寿命が80年だとすると人生の半分ぐらいですか、つまり折り返し地点みたいなところに居る。そうすると、いろんなことがある程度分かったような気になるところがあって。スポーツ選手だったら引退とか。ある意味での諦観というか。諦めてるわけじゃ全然ないけど、「じゃあ、どうするの、これから?」って考えて戸惑う。惑う。そういう年代の人達のお話を描きたいなーって、一番最初に思いました。で、そんなことを考えていた時にポンと浮かんできたのが「主婦」でして。

― 主婦ですか?

横田 ちょうど「女性が中心になる作品を描きたいな」と思っていたのもありました。主婦にもいろんな生き方があるわけですが、旦那が働いていて、一緒に生活している普通の人たち。それはどういう生き方なんだろうなと。
 
―  なるほど。演出面ではどのようなことを考えているのでしょうか?

横田 演出的には、「人と人が本気で向き合う」ことをやってみたい。ちゃんとお互いが正面に向き合って対峙するという状況を作りたい。その部分に焦点を合わせて戯曲も描きました。妻と夫であったり、親と子であったり。今回はそういう意味でぶつかるシーンを多くしてました。僕がやっているような群像劇って、やり方にもよるんですが、なかなか本気でぶつかるということがないんですよ。あえて避けてさえいた気もします。でも今回は、「勝ち負け」くらいの感覚で役同士が裸でぶつかるところが見たかった。それこそお互いの大事な部分をさらけ出してね。人と「向き合う」っていうのはイコール傷つくということです。怖いことです。体力もいる。単なる精神力だけじゃなくて、体ごとぶつかっていく、誰かと真剣に向き合うっていうのはものすごく労力がかかる。でもそこをかわさない。「かわすな!ぶつかって行け!」と。そこが演出的に一番やりたいことです。

― なるほど。それを踏まえての今回の5名の客演陣になるわけですね?

横田 そうです。KAKUTAの若狭君とは、もうずっと前から「一緒にやろう」という話をしていたのですがやっと実現しました。すごい力があります。仁さんとは今回で3回目ですが、いつも怖くて目がそらせないような芝居をする人です。

― 今、怖くてとおっしゃいましたが(笑)。

横田 うん(笑)。今回やりたいことに欠かせない人です。

― 今話されたお二人は横田さんが個人的にも劇団としてもお付き合いが長い方々ですが、阿部さん、椿さん、仲坪さんとは?

横田 お三方ともタテヨコでは初めてです。椿さんは、出演されている舞台を何本か観させていただいて、キチンと物事に立ち向かっている印象を受けました。仲坪さんも双数姉妹で拝見して、すっとした顔立ちの中で何かが激しく燃えている気がして。お二人ともすごく素敵です。阿部さんとは前に僕が外部の仕事でご一緒して、軽やかな中に確かなものがある俳優さんだったんです。

― 阿部さんとは既に一緒にお仕事をされているんですね?

横田 阿部さんはうちの俳優には居ないタイプで、不思議な透明感を持っています。同じ仕事に出演していた舘とも「いつかご一緒したい」と話していました。今回実現してすごくうれしいです。

― 今作のキーワードは「向き合う」になるのでしょうか?

横田 そうですね。劇団員のみの稽古でも、俳優達に「向き合え。向き合え。逃げるな」って言っていて、そういう力をもった作品にしていきたい。でも、だからといってギスギスした作品にしたいわけじゃなくて、本気で向き合うことの面白さ、人間どうしがきちんと絡んでいく部分を全面に出していきたいです。すごく能動的というか、受け身じゃない作品にしたいと思っています。あと、最近こだわっているのですが、非日常的な存在も出てきますよ。その役が触媒となって人と人を向き合わせていくみたいな感じになればと。他にも、会場が吉祥寺シアターなので舞台面の広さへのアプローチというのも考えています。こちらはまだ構想中ですが。

― なるほど。なんだか今までよりも舞台上での熱量が高い作品になりそうな雰囲気ですね。作品の完成だけでなく、次回のインタビュー(11月下旬頃を予定)で稽古の進行具合のお話を聞くのも楽しみになってきました。 本日は、ありがとうございました。

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