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●演出家インタビュー:小池竹見(双数姉妹)

聞き手:服部健太郎(タテヨコ企画)

「カタカタ祭り」演出家インタビュー、トップバッターは『夏が来ない』 を演出する双数姉妹の小池竹見さんです。めちゃくちゃ忙しい小池さんには、稽古の直後も直後、まだ役者が後片付けをしているなか、お話をうかがいました。



服部:今回、カタカタ祭りを引き受けてくれた決め手みたいなところから、おうかがいしたいと思います。
小池:決め手は、そうですね。ここ数年、演出の仕事とか脚本の仕事だとかやるようになって、小劇場界の違う畑の人たちとの出会いがちょっと少なかったんですね。せっかく声をかけてもらって、まったく知らない人たちとちょっとやってみたいなっていう。最初に心の動いたのはそこですね。
服部:最近は音楽のほうの仕事が多いんですか。
小池:音楽だったり、舞台も、双数とか、商業的な公演だったりとかっていう仕事ばかりやってたんで、小劇場での横のつながりというかそういう出会いがほしいなっていうのは思っていて。タテヨコ企画がどういう劇団かもよくわかってなかった時点で、もうやってみたいなと。最終的には「ムラムラギッチョンチョン」を見て、面白いなって思って。いい役者さんも何人か見受けられたんで、できるだろうなっていう確信を持ったんですけど。
服部:今回のカタカタ祭りでは、カタカタの小さい空間でやるっていうのが肝であると思うんですね。実は双数姉妹を、一回も拝見してなくて申し訳ないのですが、わりと大きいところで上演している印象があったんですけどカタカタの小ささに対して何か思うところっていうのは、ありますか?
小池:そうですね、ま、TEATRE/TOPS.とかはまあ、小さいんですけど、非常に難しくて。近いと思ってやってると意外と奥の席は遠かったりとか。完全に近いというところで芝居を作ったことは、あんまりないというか、
服部:うんうん。
小池:逆にその、大げさな発声とか表現をしなくても、通る場所という意味で、カタカタでやるのは面白いだろうなといういうのは感じましたね。
服部:カタカタみたいな小さいところでやってるのって、ご覧になったことはあるんですか。
小池:んー、なんかあるかな。・・・劇小とか小さいっちゃ小さいですよね。 (*1)
服部:ええ、ええ。あの、ほんとにカフェみたいなところでやるとか、
小池:あなざーわーくすとか、(*2)
服部:はいはい。
小池:でもま、あれは、小さいからといってそういうトーンでやってるわけでないので。 ・・・カタカタの場合は小さいことよりも、やっぱり空間が本当の空間、日常でも使われている空間なので、そこの存在感みたいなものを大事にしようと。そうすると、役者もギャラリーの空間に見合った存在でなければいけない。そうなるとこう、近いっていうこともあって、役者の見せようとしていない部分も含めて見えてくる距離だし、空間だなって。 その中で、どっかやっぱり演技というかウソをつかなきゃいけないというところで、 どこまでその、お客さんをだませるかというか。どうやってその、なるべくウソのにおいをにおわせずにやりきるかっていうのが、非常に難しいし面白いなって思ってやってますね。
服部:パンフレットに、「この距離(近さ)に耐えられるだけの隙のない作品に仕上げるか。もしくは、役者のナマの思考を含めて全てを見せていくか」っていうことばがありますが、後者よりのキャスティングになった、という。
小池:そうですね、そういうメンバーを選んでいるので。
服部:それは、隙がある作品をつくるっていうことなんですか(笑)。
小池:まあ、隙も作っていくって言うのかな。隙も作るし、やっぱ作りきれない部分っていうのがどうしてもあって。作りきれないものを作りきれないままどう利用して見せていくかっていうのも含めて、結局はまあ、両方。どっちを選ぶってことではなくって。その脚本であったりその役者が演技するっていうことだったり、そういうところで、つかなきゃいけないウソみたいなものを、どうクリアしていくか、っていうところですよね。


うーむ。 TEATRE/TOPS.は、小さいのか。お客としていくと、客席も勾配ついててけっこうでかいような気がしていたけど。ぼくの知っている「大きい」劇場ってのが、そんなに大きくないんでしょうな。よく考えたら、小池さんはゴスペラーズの日本武道館のライブとかも演出したりしてるから、経験している空間の規模が違いすぎますな。でもまあ、小池さんもおっしゃっているように、大事なのは大きさだけでなく、「ほんとのギャラリーを舞台にしたギャラリーでのお芝居」ってところで、ウソのさじ加減が問われるわけですが。インタビューではつっこめなかったけど、双数姉妹の「オキュパイ」って、「THEATER/TOPSを舞台にしたTHEATER/TOPSでのお芝居」だったんじゃなかったかしら。・・・聞けばよかった。




服部:カタカタの印象はどうですか、どう使ってやろうとか。
小池:役者に言ってるのは、作りこむだけ作りこむんだけど、どこかで現実に対して開いていてほしいというか、
服部:へえ。
小池:開放しててほしいというのかな。6人の役者の間だけで閉じてしまうんではなくて、これからカタカタに入って、お客さんも入って、外では外の音がするし、あかりも違うし、天候も違うし、っていうことに対して、反応できるからだをつくっておいてほしいというか、ま、頭も含めて。ちゃんと影響を受けられるようにしといてほしい、っていうことはま、役者の皆さんに言っていることですね。
服部:それは、お客さんの反応っていうのにたいしてもどこか開かれているっていうことですか。
小池:あー。それは難しいとこですよね。お客さんに対してぶれちゃうとまたちょっと違ったりして。
服部:あくまで、街とか天気とかっていう方向にっていうことですか。
小池:そうですね。そこをどう分けられるかっていうのは、難しい問題ですよね。たぶんね、だから、公演の日程によって衣装も変えなければいけないだろうし。寒かったらもっと服を着て、暑かったら脱いだりとか。
服部:キャスティングの狙いみたいなのもお聞きしたいんですが。五味さんをキャスティングしてカタカタに臨む狙い、みたいな。五味さんとは、双数でながく一緒にやってらっしゃるんですよね。
小池:五味はね、あの、すごくノイジーというかね、近くで見るとすごく面白い。いろんなノイズを発しているので。なかなか劇場だとちゃんと届かなかったりするんですけど、今回こういう芝居で、ノイズも見えてくるような状況の中に置くことは、非常にこの、ノイズを楽しめるというか。すごく面白いノイズを出しているので。今回の企画には、五味はぴったりかな、と思って。ちょっとキャスティングしてみたというところですね。
服部:稽古も、もう通しまでやってますが、いい感じですか?
小池:いいと思います。若い二人が、青木と、まあ、青木は若くもないですけど、辻沢とが、ふたりがポイントポイントでいい盛り上げ方をしてくれるし。あとは、藤崎なり広瀬さんなりが余裕を持ってやってくれれば大丈夫なんじゃないかなというふうに思っています。


双数姉妹は、カタカタ祭り直前に本番があり、(*3)
小池組『夏が来ない』は、9月中にいっかい芝居を作ってから休みに入っているのです。
熟成期間が作品に、俳優たちにどのように作用するのか、それも楽しみです。


服部:他の2作品に対してとか、カタカタ祭りがどうのって、いうのはあんまり関係ないんですか。
小池:いやー、すごい、楽しみにしてるし。ある程度美術セットまで同じというところで、同じ人が書いてるの作品で、そんなにとっぴな演出をすることも
なかなかできないと思うんで、そういう中で、演出家によってどんな色の違いが見えてくるのかなあっていうところが面白いなあ、って。
服部:あー、そうか。
小池:ぼくもだから、最初はすごく双数姉妹的な、小池竹見的なことをやんなきゃいけないかなって気負ってた部分から、この脚本ないし、この空間なりっていうところですごく、ちゃんとこう王道でちゃんとした演出をするのが正解なんだろうなって思って。たぶん横田さんもそうだろうし、片山さんもそうだと思うんですけど。素直に、脚本に向かい合ったなかで、どういう違いが見えてくるのかなって。違いを見せようってする必要はないと思ってて。その中で見えてきちゃうものっていうのが、それぞれの個性だったりするのかなあって。
服部:ぜひとも三つ見てもらいたいですね!
小池:ま、他の二つの脚本は知らないんで。面白いのかどうかわからないですけど。


いやいやいや。面白いですよ、全部!
ということをこのあとのインタビューでお届けしたいと思います。
カタカタ祭り、11月11日まで。小さな会場です。今すぐ、ご予約を!


インタビュー:2007年9月17日


双数姉妹:http://www.duelsisters.com/


*1:劇小=「劇」小劇場。下北沢にある劇場。130席。
*2:あなざーわーくす:東京・兵庫県赤穂市・姫路市を拠点として活動している女性4人の劇団。http://www.anaza.c-o.jp/
*3:青熊辻宮浅河鰻:http://www.duelsisters.com/info/trial1/tr1_f.html



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