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●演出家インタビュー:片山雄一(NEVER LOSE)

聞き手:服部健太郎(タテヨコ企画)

お待たせいたしました。「カタカタ祭り」演出家インタビュー二人目は、『そのときどきによって』を演出するNEVER LOSEの片山雄一さんです。毎日稽古で会っているものの、改めてインタビューとなるとちょっとだけ緊張します。


服部:片山さんとタテヨコ企画とのなれそめからお聞かせください。
片山:ぼくは、二十歳のときに俳優として青年団に入ったんですね。そのとき横田さんはも青年団の俳優として在籍してまして。 だから出会いはもう、12年前ですか。その後僕はネバールーズを主宰の谷本と立ち上げ、横田さんは青年団の演出部を経てタテヨコ企画を旗揚げするんですが、ぼくはタテヨコ企画の第一回公演に俳優として参加してます。高円寺の明石スタジオだったかな。
服部:そうなんですか。
片山:まあ、タテヨコ企画とは、旗揚げからずっと関わっている。別に何をしてたってわけじゃないんだけど、毎回打ち上げにいる、みたいな感じですけど。あと、うちの劇団員が、「あおみず」に長谷川宏樹が、「すくすく」に山本祥子が出ました。で、 タテヨコからは、たてちんと温太郎にネバールーズに出てもらいました。
服部:それけっこう、前でした? 二人が出てたのはこないだの『廃校』しか見てないんですけど、
片山:『廃校』が二回目で、その前にも4年くらい前かな、一回出てもらってる。(*1)
服部:あの、カタカタ祭りを引き受けた決め手みたいのは。
片山:えーとね、前から何か一緒にやりたいねっていう話はしてたんですね。ただ、いまのお互いの状況で一緒にやることになんのメリットも、・・・面白そうなんだけど、なんの必然もないよね、というところがあったんです。でも、ネバールーズ自体も最近、やっぱり方向性が少し変わってきていて、
服部:その最近と言うのは・・・。
片山:ここ3年間ぐらい。同じ作品をライブハウスでバンドと対バンしながら何本もやったりして、その間ずっと休みがない状態で。で、横田さんが、今年の3月に名古屋まで観に来てくれたんですね、芝居を。そのときに、この3年間、ぼくらがやってきたことについてすごく関心を持ってくれて。ぼくも、こないだの駅前劇場の「ムラムラギッチョンチョン」のときに、横田さんの仕事についてすごく興味を持って。だから、まあ、旗揚げの時とかはね、同じ青年団にいたんで。スタート地点は一緒だったんだけど、お互い別の方法論を模索して、またちょっとここで一緒にやることがいい影響をお互いに及ぼすんじゃないか、と。時機が合ったというか、お互いに刺激がほしくなったので、このタイミングでやるんだろうなあ、とは思ってます。それもだから、交流はもちろんあったんだけど、一緒になにかやりましょうっていうのは、その8年間の中で信頼感が出てきたんじゃないかなって思います。


8年間!満を持して。そのNEVER LOSE、最近の活動はどういうものだったのでしょうか。ライブハウスのサイズとギャラリーカタカタとに、なにか共通のものがあるのかな、と思って聞いてみました。


服部:カタカタを使ってお芝居をやるっていうのは、NEVER LOSEが今現在やっていることの延長線っていうか、そんなに変わったことをやるっていう感じではないんですか。
片山:うーんと、ライブハウス自体は、空間の広さとしては同じくらいなんだけど、ライブハウスというのは、全部防音壁で、あの、千人規模の劇場でやるような声を出さないとお客さんに届かない。
服部:あ、なるほど。
片山:でも、身体のほうは、千人規模の前でやるような少し大げさな動きをすると、ちょっと面白くないんですよ。だから身体と声を分離して、声はでっかいんだけど身体だけは日常に近いということを今までやってきた。お客さんがびっくりするくらいすごく爆音を出したりする、っていうのとは別に、二人きりのすごく静かなシーンとか。うちは、大胆なものとすごく繊細なのと、両方やってきたので、大胆なところはそんなに今回、出すつもりはないんですけれけども、その繊細さの部分で勝負したいなと。 あと、ギャラリーでやることについては、下見に行ったときに、すごくいい空間だな、と。ギャラリーとか美術館って、緊張感がやっぱあるのね。でも、駅の前でたとえば、弾き語りとかあるけれども、芝居はぼくは駅の前とかちょっと無理だと思うんですよ。緊張感がない。
服部:ああ。
片山:緊張感がないと、こちらがやってることに反応してくれなくなっちゃう。なのでこう、見過ごしてしまうんだな。風景に溶け込んでしまう。ま、ギャラリーの中で皆さんには見てもらうんだけど、ギャラリーの中は、ある程度緊張感と、役者が近いということで、劇場と同じではないですが、楽しく見ていただけるんじゃないかと思います。で、さらに、お客さんが座っている席から、向こう側に本当に日常の風景が見えるわけじゃないですか。自分たちの日常と、こちら側の劇場というか演劇との、ちょうどその中間地点で、作品を作れたら面白いんじゃないかなと思って、一生懸命がむばっております。


今回も、客席はギャラリーの奥の展示スペースに設置され、入り口のほうを向いて観ていただくようになっています。俳優たちの向こう側には、経堂の町。まさに、客席と日常風景の間で、作品が生まれるようになっています。それは、カタカタ祭り共通の醍醐味です。


服部:他の、二作品の様子っていうのは、気になりますか?
片山:気になる気にならないっていったら、ぼくはすごい気になりますね。
服部:カタカタ祭りの面白みっていうか、こういうのが楽しみだよなっていうのは。
片山:うーん、やっぱりね、こないだの『夏が来ない』の公開通しを見たときにね、ああ、横田さんの作品って、こういうドラマがあるんだ、っていうのが、初めて分かったんですね。横田さんは自分の作品のことを「全然事件が起きないんだよ」って言うんだけど、しっかり事件が起こる。しっかりドラマもある。そういうことを小池さんがやっていて、もうちょっとそれはね、びっくりしたんですよ。外部からの視点にさらされるっていうのはこういう発見があるなあ、って面白かったんで。もっともっとぼくの知らないタテヨコの可能性を小池さんには、見せてほしいなって思うし。まあ、横田さんの新作のほうは、台本も読んでないし、稽古場にも行ってないから全然わかんないんですけど。あのね、旗揚げからしばらく、ある程度青年団を基準に作品をつくるベースがあって、その後タテヨコがちょっと変わっていったなっていうきっかけが、このカタカタでの「そのときどきによって」という作品だったんですね。それからタテヨコは劇場から少し離れて、地方に行ったり幼稚園とかでやりはじめて、いまへの流れが出来た。その転換期の作品なので。またその、転換期となる作品を横田さんには持ってきてほしいなと。ああ、タテヨコはこういうふうに変わっていくんだなと。そういうことをすごく、二人には期待してるというか、ま、単純にぼくはお客さんとして楽しみにしています。
服部:最後に、片山組の作品についても。
片山:「そのときどきによって」という作品なんですけれども、ギャラリーカタカタでやった作品と桜美林で上演した作品の二つの台本をもらって、ちょっと再構成してるんですね。初演がもう2002年なので。ト書きに2006年の夏って書いてある。過去の話なんだなぁ、と。
服部:そうですよね。
片山:やっぱりその、過去っていうのが、すごくぼくの中で、追憶というのがテーマとしてあるので。自分の作品作るときに。
服部:へえ。
片山:ま、過去の作品を、あの時はこうだったよね、って今語る。過去の思い出を語るっていうのが、すごく自分にそういう傾向があるんですね。でも、それだけだと前に進まないんで。あのときこうだったから、今度こういう風にやってみよう、今度はこうなっていくんじゃないの、っていう風に、未来の方向にベクトルをクイッと向けたいですね。そういう意味では、ま、タテヨコと今までかかわりがあった、あったけれども、たとえばぼくは、この台本は、うちに出演してくれてるタテヨコの俳優達はまだまだこういう可能性を持っていると提示したい、ということがいま、なんとなく稽古場で出てきている。 まあ、どうなるかわからないですけどね、経堂の片隅で世界に向けて作っています、少し先の未来の話を。


タテヨコ企画にとって、大切なあの作品を、未来へ向けて。
片山さん演出の「そのときどきによって」を含む3作品を上演する、
カタカタ祭り、世田谷区経堂のギャラリーカタカタにて絶賛開催中です。
11月11日まで。今すぐご予約を!


インタビュー:2007年9月29日

NEVER LOSE:http://www.neverlose.jp/

1: 『'S(アポストロフィーエス)』2003年 こまばアゴラ劇場
     『「廃校/366.0」後日譚』2007年 名古屋千種文化小劇場/東京芸術劇場



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