戦え、そして逃げ出せ海から。


土砂降りの雨の中、テトラポットの狭間に少年は座っている。
びしょ濡れの目線の先、空と海との境目が分からない。
みんなどうしてああいうことを言うのだろう。
あいつは全然悪くないのに。
そして誰よりひどいのは僕だろう。何にも知らないふりをして。
手足が痺れてブルブルと震えだした頃、空は暗くなり星が見えた。
まだ雨はザンザン降っている。
不思議に思ったその時、目の前にそいつは居た。
濡れそぼった犬のようで、しかしところどころ毛が抜け落ちてつるんとした紫色の肌が見えるそいつは3つ目のうちの一つでウインクをしながら厚紙をクシャクシャにしたような声で「一緒に行こう」と言う。
ふと熱いものが溢れそうにもなるが、立つのも面倒だし断ったら寂しそうな様子でどこかへ消えた。
・・・・・・
それから20年以上が過ぎ、久しぶりに帰ってきた少年はあいつが妖怪アメフラシだったことを知っている。
彼は人知れず戦いを始めた。もう一度あいつに会うために。


10周年にあたり
気がつけば10年。
ふりかえるべき過去はないが、のぞむべき未来はここにある。
べきだ。と思う。かもしれない。なんてね。

●10周年記念公演
 第二弾 2009年5月13日(水)〜17日(日) ギャラリー悠玄
 第三弾 2009年12月10日(木)〜13日(日) 吉祥寺シアター

 


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